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広域システム科学系紹介

系長 玉井 哲雄

広域システム科学系は,自然界から人間社会に至るまで,さまざまなレベルの複雑な現象を見渡して,それを総合的・複合的に考えてみようという理念をもって設立されました.

分野を細かく分けて,専門化していくことは,確かに学問を進化させますが,そのように細分化された個別学問分野だけでは対処できない問題が,現代社会にはたくさんあります.たとえば,今日,世界中の関心事となっている地球温暖化問題などは,温暖化の原因となるCO2分子の物理や化学,大気循環や海洋などの地球科学的知識,生態系への影響を含めた生物学的知識,あるいは情報技術を利用したシミュレーションの技術の知識などを動員して取り組む必要があります.一方,温暖化は人間活動の結果ですから,そうした「自然界」についての知識だけでなく,政治・経済・社会・文化など「人間社会」に関する深い理解も必要でしょう.地球温暖化問題ひとつをとってみても,このようにものごとが複雑に絡み合っており,ひとつの個別学問分野だけで対応できるものではありません.しかも,地球温暖化のような複合的問題は,今日の社会の中でますます増えています.広域システム科学系は,科学の個別の分野,さらには理系・文系という枠をも超えて,総合化(synesis)とシステム思考というアプローチをとることで,こうした事態に対処しようとしています.

広域システム科学系は,さまざまな具体的問題をシステムとして捉え,その構造,機能,動態,進化,さらには管理を対象とします.本系を構成するのは,システム論,情報科学,図形科学,宇宙地球科学,原子分子物理学,地球化学,生態生物学,人文地理学,科学技術計画学などさまざまな領域にまたがった専門を持つ教員ですが,それぞれ,各分野に固有の分析的方法論を深めると同時に,それらをシステム論的な視点から総合化しようとする研究アプローチを持っています.具体的には,制御や最適化などを扱う数理システム,さまざまな物質や多様な生命が複合的に介在する自然システム,人間とコンピュータが絡み合う情報処理システム,人間・社会環境システム,都市・地域システム,科学技術システムなど,広範な領域と階層におよぶシステムを扱います.こうした目標のために,広域システム科学系には次の4 つの大講座が置かれています.

広域システム科学系の理念

現在,この4 つの大講座を合わせて55 名の教員の下で,約180 名の院生諸君が学んでいます.また,広域システム科学系の教員は,教養学部前期課程のほか,後期課程の広域科学科(広域システム科学分科および人文地理分科)を兼担しており,後期課程の広域科学科と大学院の広域システム科学系は密接な関連をもって運営されています.

(広域科学専攻年報 Frontiere 2004より)