大講座紹介
[基礎システム学大講座] [情報システム学大講座] [自然体系学大講座] [複合系計画学大講座]基礎システム学大講座
自然の諸階層にわたって現れる非線形現象を,様々な角度から解明することを目指している.最近の研究内容は次のようなものである.
まず宇宙に関連して,(1)数値シミュレーションによる回転中性子星の非軸対称不安定性,連星中性子星の合体や重力波放射,ブラックホール形成過程,超新星爆発のメカニズム,新星のメカニズムの解明,(2)重力多体問題専用計算機による銀河,銀河集団,宇宙の大構造の形成の解明,及び(3)赤外線天体の観測がなされている.
また,人工システムでは,計算機中に人工世界を構築して自己複製機構の発生と進化,アルゴリズムとデータの共進化,カオスと協調性の進化,カオスの多様性の維持,ジレンマゲームにおける戦略の進化などが研究されている.
さらに原子分子レベルでは,イオン,電子,陽電子や反陽子などのビームと固体・気体との衝突実験により,結晶および表面の構造・組成,チャネリングとそれに伴う放射,原子分子過程の機構,断面積等が研究されている.
その他にも,グラフ,マトロイド,凸幾何などの離散数学や,組み合わせ最適化アルゴリズムと生物情報学の研究といった研究も行なわれている
博士論文・修士論文の主なテーマ
- Stability Analysis of Differentially Rotating Stars
- Subjective Coupling and Embodied Cognition in Simulated Vehicles
- Lambda Game System: an approach to a meta-game
- 回転星の重力崩壊に対する数値一般相対論的解析
- マイクロスリップの力学系
- 生態系の進化ダイナミクス
- π -Calculas と化学反応
- 気球及び人工衛星搭載用遠赤外線検出器の開発
- 自己複製CA の相互作用とダイナミクス
- 人間の非合理的選好に関するシミュレーションと考察
情報システム学大講座
人間自身の情報処理を対象とした認知科学的な研究から、コンピュータそのものを扱う計算機科学的な研究まで、システムと情報という観点から幅の広い研究と教育を行なう。また他の大講座と協力して各種複合システムのシュミレーション・評価などの理論的考察と展開を目指す。研究内容は以下のとおり。
- 情報(information)と計算(computing)のモデルに関する研究 ..... 情報モデルの比較研究と情報構造の特徴づけ及び部分空間分類。形状のモデル化とくに形状位相表現や曲面処理技術。画像情報の処理。ソフトウェアの仕様・検証技術。ソフトウェアの進化プロセス。ソフトウェア工学と知識工学との融合。
- 情報処理システムの計算機構、ハードウェア、ソフトウェアおよび分野適合な利用技術に関する研究 ..... 超並列計算機上の関数型言語。コンピュータネットワーク。銀河などの自己重力系の進化シュミレーションとそのための専用計算機構。
- 人間コンピュータの複合系としての情報処理システムの研究 ..... コンピュータグラフィクスとウインドウ環境におけるユーザインタフェースシステム。抽象情報の図化と例示による写像記述方式。問題解決と発想を支援するシステム。情報処理システムにおける人間の負担。
- 情報と人間に関する研究 ..... 人間の推論・問題解決・学習・発想などの情報処理プロセスの認知科学的研究。類推とアブダクションによる仮説形成。研究遂行過程そのものについての研究。科学論・システム論。技術史。人間の感性に関わる情報の計量化とその応用。
博士論文・修士論文のおもなテーマ
- 代数仕様技術に基づくオブジェクト指向ソフトウェア工学の研究
- オブジェクトの進化と組織化プロセスの研究
- 自然画像を対象とした視覚秘密分散の物理的実現法
- 多変量解析による切断面実形視テストのパフォーマンスに関する研究
- Acquisition of Cooperative Tactics by Soccer Agents with Ability to Predict
- データフローを扱えるアスペクト指向プログラム言語の研究
- Web 構造の分析
自然体系学大講座
自然界に存在する多種多様なシステムを対象として、個別科学に立ちながら、その枠を越えてシステムとしての仕組みと挙動を解明し、人間・社会にまで関係するものを含めてその制御を考究する。ここでいう自然界のシステムには、物質的・地球的・生命的・生態的なものを含む。この大講座は以下の4つの研究グループから構成されている。
- 地球変遷研究グループ:地殻・マントル・核など、地球の層構造を形造る部分の進化とそれらの相互作用、また、生物の進化との相互作用を追求し、システムとしての地球変遷を研究する。
- 物質・エネルギー循環研究グループ:地球表層における物質移動を大気圏・水圏・堆積圏・生物圏の間の循環と捉え、その過程でどのような素過程が各物質の移動を支配するかを解析する。また、人類活動がそれらにどのようなインパクトを与えつつあるかの分析をもとに、地球表層の将来の環境を予測し、人類の生存環境の最適化を目指す研究を進めている。
- 生物社会学研究グループ:動植物に見られる様々な生物社会の実態と、それらの進化プロセスを明らかにし、さらにその系統進化を統一的に理解する理論の構築を目指している。
- 生態システム研究グループ:植物の物質生産や動物の資源利用、個体群のダイナミックスと種間相互作用、海洋生態系の構造と機能など、生物群集と生態系の構造と機能を研究する。
博士論文・修士論文の主なテーマ
- 有機色素会合体の酸化還元と電気伝導度
- 中国四川省朝天セクションの古生代・中生代境界層の層序学的研究
- コケシノブ科の系統と進化
- 食物網の自立進化モデル
- 寄生蜂による性比調節の進化とその遺伝的背景:Heterospilus prosopidis における寄主の質の効果
- オオシロアリのコロニー創成と維持に関する行動生態学及び集団生物学的研究
- 植物食昆虫の個体群動態と生活史スケジュールの進化:サイカチマメゾウムシの越冬戦略
- 絶滅危惧植物サクラソウの種子生産に対する空間構造の影響:その保全遺伝学的研究
複合系計画学大講座
人間・社会と自然を対象に含む複合的な系を計画主体の視点から研究する。都市、生活空間、環境、資源・エネルギー、科学技術政策等、人文社会科学、自然科学、工学の境界領域に横たわる、さまざまな複合的課題の解明を目的としている。各領域固有の方法論のほかに、システム論、設計論、戦略論、経営論等の計画学の方法論を用いる。具体的な研究内容の例は次の通りである。
- 資源論・地域論に基づく都市システムの空間構造及びその形成・発達過程の研究
- 地域データ分析等による都市住民の生活活動の時空間構造や企業及び住民の情報行動の空間性の解析に関する実証的研究
- 立地論に基づく経済地理学の理論的研究及び産業立地と地域経済に関する実証的研究
- 農業土地利用における環境と人間の関係に関する政治生態学的研究
- 環境中の種々の元素の自然な分布と挙動に対する人間活動の影響に関する分析化学的立場からの研究
- 人間と空間環境との関係に関する研究
- 建築設計における空間構成に関する設計システム論の立場からの理論的研究
- システム論と技術経営論の視点から科学技術政策、研究開発マネージメント、イノベーションシステムなどの研究
- 科学技術社会論の視点から科学技術と社会との接点で発生する諸問題、公共空間の意志決定に関する課題の研究
- 認知科学と組織知能論の視点から、人間や人間組織の想像的/知的活動に関する研究
博士論文・修士論文の主なテーマ
- 企業組織の立地展開と空間的分業
- 青果物流通の変容と個別化の進展
- 東京大都市圏西部における工業空間の拡大と自立化
- 大気腐食鉄板の状態分析による環境モニタリング
- 底質中の元素とその化学状態に着目した都市河川環境分析
- 研究開発における予測の構造化とその研究開発評価への応用
- 日本における研究開発型ベンチャー企業の組織間知識共有構造の分析
- 技術変化の影響評価:環境対策における技術の波及効果と構造変化の分析
- 都市景観や建築とそれについてのイメージ生成過程の分析的研究
- 科学技術と社会との接点の課題における市民参加の手法