新形式の専門科目試験に対するメッセージ
総合文化研究科 修士課程学生募集要項(広域科学専攻)に示されているように、広域システム科学系では、今年の修士課程入試から専門科目の試験を新しい形式に変えました。
広域システム科学系では、既存の個別分野の科学技術のみでは扱えないような、分野を横断する学際的・複合的性質を持った諸問題の多くが、「システム」というとらえ方で対象化できることに着目し、広域システム科学という新しい学問分野を生み出していくことを理念としています。
その立場からすると、広域システム科学系の大学院に入学を希望する受験生の皆さんに対して、特に求めたいのは、既存の個別分野の科学技術に関する狭い範囲の問題を解ける能力や知識量の豊富さではない、ということです。むしろ、私たちは、皆さんが、科学や技術を総合的・横断的・階層的にとらえる視点を養い得るだけの柔軟な思考法を持っているか否か、また、新しい分野を切り開いていくために、たとえ未知の問題や専門外の領域であっても、何が問われている問題の本質なのかといったことを理解する能力があるか否か、を判断したいのです。
そのために必要な最低限の能力は、論理的な思考を理解し、論理的で明解な応答ができることです。その能力を判定するために、新形式の専門科目としては、科学的な背景のもとで論理的に書かれた文章を読み、その文章の内容を考慮しながら、現在までに身につけた科学的思考力を総動員することで、与えられた文章に関連する問題に対して筋道の通った文を書いてもらうという、サンプル問題 (PDF, 368KB)のような形式をとることにしたのです。
このような専門科目の解答内容に関連して、口述試験では、さらにそれを深く問うことにします。また、個別の科学技術の分野(皆さんが学んでいる個別の専門分野)の一般的な知識については、口述試験の中で試問します。そのため、これは単なる面接ではなく、口頭試問として重要な評価の対象となります。
こういう新しい形式の試験であっても、むしろ意欲的に挑戦してみようとする熱意のある多数の学生さんの応募を、大いに歓迎します。